歴史を鳥瞰する 2020 12 13

書名 テレビが伝えない国際ニュースの真相
著者 茂木 誠  SB新書

 2017年ごろだったでしょうか。
保護貿易を推進するトランプ政権に対して、
マスコミは、「保護貿易は間違いだ。自由貿易が正しい」と主張していましたが、
いつの時代においても、自由貿易が正しいとは限らないのです。
 これは、マスコミが経済や経営を知らないから、
そういう主張になるのでしょうが、経営効率から考えれば、こうなります。
 人件費の安い国で生産する。
アメリカには、本社機能だけ残す。
いや、本社も「租税回避地」に移転させて、
企画部門だけアメリカに残す。
 たとえば、人件費の安いメキシコに工場を建てて、
そこからアメリカに輸出すれば、経営効率が良いのです。
 しかし、政治家というものは、国民の利益を考えて、
保護貿易を主張するのが自然です。
もし、自由貿易を主張する政治家がいたら、スポンサーの利益を考えています。
 このような仕組みを知らないから、
マスコミは、「保護貿易は間違いだ。自由貿易が正しい」と主張するのです。
 もちろん、マスコミの収入は、広告に依存しますので、
広告主の利益を考えて、自由貿易を主張するかもしれません。
 さて、著者は、「教育系(歴史)のYouTuber」です。
歴史から見ても、自由貿易は国民の利益にならない場合があるという。
 かつて、中国(清朝)は、世界最大の工業国家でした。
しかし、1840年のアヘン戦争で、英国に敗北して、
「自由貿易」を認めたら、どうなったか。
 当時、英国は、産業革命の成功によって、
安価で優秀な工業製品を作り出すことが可能になっていましたので、
そういう工業製品が大量に中国に流れ込み、
中国国内の製造業は壊滅的な打撃を受けたのです。
 国内産業が衰退すれば、国外に、お金が流出していきます。
税収が減るので、軍事力が落ちていく。
こうして、中国は自由貿易をきっかけに大きく国力を落としていきました。
 それを見たアメリカとドイツは、あわてて保護貿易を展開して、
国内産業の保護・育成を図ったのです。
これがアメリカとドイツの発展の原動力となったのです。
 もちろん、日本の明治政府も、そのような情勢を見ていましたので、
とにかく不平等条約を解消して、「関税主権」の獲得を急いだのです。
(以上、引用)






























































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